・1 離婚協議書と離婚公正証書
・1.1 協議離婚と離婚調停
・1.2 離婚協議書とは
・1.3 公正証書とは
・1.4 どちらを作成するべきか
・2 離婚協議書(公正証書) 面会交流についての記載例
・2.1 面会交流の頻度のみ決定しておく場合
・2.2 面会交流の際の条件を具体的に決定しておく場合
・3 報酬 費用について
離婚協議書と離婚公正証書
協議離婚と調停離婚
本サイトで掲載している 離婚協議書 や公正証書を作成するケースは、ご夫婦の話し合いで離婚を成立させる協議離婚の場合に作成するものとなります。離婚すること、親権や養育費等の詳細条件についてもお二人で話し合いが出来ていて、合意していることが大前提です。
一方が離婚に同意していなかったり、条件面で合意が得られない場合は、弁護士さんに相談したり、離婚調停や裁判も見据えて進めていくことが必要となります。調停や裁判となれば、半年以上、数年単位で時間がかかることも考えられますので、費用面や精神面でも負担が大きく出来れば協議の中で合意することが双方にとっても良いかとは思います。
但し、話し合いが不十分なまま公正証書の作成や離婚を成立させてしまうと、後から条件を変更することは非常に難しくなります。決して妥協することなく、最後まで話し合いをなさってください。心理的な負担が大きくはなりますが、ご自身とお子さまの将来をしっかりと考え、一つひとつ決断してください。
離婚協議書とは
離婚協議書は、夫婦間で離婚の条件について合意した事項をまとめた書面です。
書き方や形式は特について決まった書式等はありませんが、支払いの期限や金額はあいまいにせず、明確に記載しましょう。作成した日付とお二人の署名、捺印をしそれぞれが保管しておく必要があります。
「離婚協議書では意味がない」といったことが言われますが、約束(契約)が成立していないということではありません。合意して離婚協議書に記載した内容は、どちらも守る必要があり、そういった意味では離婚協議書は有効な書面と言えます。但し、離婚協議書だけでは、法的な強制力がない為、万が一養育費等に支払いが滞った場合には、支払いを求める調停や裁判を申し立てなければならず、この点が、公正証書として作成するかの大きなポイントとなります。
次に記載しますが、強制執行について合意した公正証書を作成していれば、同様に養育費等の支払いが滞った場合に「調停や裁判」を経由せず、すぐに強制執行の手続きにうつることが可能となります。
公正証書とは
公正証書とは、公証役場で公証人に作成してもらう文書となります。公証役場は全国にあり、実はどこの公証役場でも公正証書を作成することは可能です。但し、強制執行等が必要となった際には公証役場へ出向く必要がありますので、住所地や勤務地の近くで作成がお勧めです。
ご夫婦で合意された内容を公証人に伝え、公証人が原案を作成し、最終的にご夫婦が署名捺印し完成となります。
公正証書の作成に当たっては、いくつか注意事項があります。一般的にはあまり知られていないことですので、是非しっかりとご確認ください。
✔二人で決めた内容を全て記載できる訳ではない
まず、公正証書に記載する内容についてですが、これは基本的にはご夫婦間で協議し合意した内容を、公証人が記載することになります。しかし、公正証書は公証人が作成する公文書となります。その為、記載内容が法的に無効となるような約束であったり、公序良俗に反するようなものであれば公証人は記載出来ません。
例えば面会交流や養育費について「面会交流は一切認めない」であったり「養育費を放棄する」といった内容は認められませんのでご注意ください。
✔公証人によって意見も違い、記載内容もそれぞれ変わる可能性がある
上記の通り、公正証書に記載する内容については最終的には公証人が判断することになりますが、この判断については全国の公証人で統一したルールがある訳ではありません。公証人は、個々が独立して業務を行っていますので公証人によって判断もバラバラです。その為、例えばA公証人は記載できないとの回答であっても、B公証人は記載できる、ということもあり得ます。
但し、先ほど記載した「面会交流を一切認めない」など明らかに無効となるものについてはどの公証人も記載NGになります。
養育費の金額を細かく毎年変更させたい、等どうしても譲れないことがあれば、公証人を何人が当たって作成してくださる方を探すということも可能ではあります。なかなか手間もかかりますので難しいかとは思いますが。
✔公正証書の内容は原則変更できない
公正証書が完成すれば、原本は公証役場に保管され正本謄本をそれぞれ当事者が保管することになります。公正証書は、公証人が作成する公文書であり法的に強い効力があります。ですので、作成後に「やっぱり金額を変更したい」などと変更することは出来ません。どうしても変えたい場合は「変更」ではなく「再度作成する」ということになりますので、条件面等しっかりと合意した内容で作成するようにしてください。
✔公正証書を作れば100%安心!ではない
離婚の際、公正証書を作成することは非常に大切なことです。そして、強制執行認諾文言がある公正証書を作成すれば、未払いとなった時に強制執行にかけることは可能とはなります。しかし、この強制執行についても、公証役場や裁判所が取り立てをしてくれる訳ではなく、全て自分で行う必要があり簡単ではありません。また、相手方の口座や勤務先が不明であったり、残念ながら差押える金銭等がなければ、どうすることも出来ない場面もあります。
不安を煽るような記載になりますが、現実としてこの点は知っておいていただきたい点となります。
ただ、だからといって「公正証書を作っても意味がない」ということではありませんので公正証書は必ず作成しましょう。
どちらを作成すべきか
これまでも記載した通り、離婚協議書と公正証書では、万が一養育費等の支払いが滞った際の手続きが大きく違います。調停、訴訟が必要となれば日常の大変な生活の中、非常に大きな負担となります。ですので、基本的には長期に渡る支払いがある場合は公正証書を作成するべきだと考えます。
一方、例えばお子さまがいらっしゃらず、財産分与等もすぐに支払いが終わるようなものであればお二人の間での書面で問題ないかもしれません。
離婚協議書(公正証書) 面会交流についての記載例
面会交流についての記載例
面会交流の頻度のみ決定しておく場合(その他については、都度協議し決定)
第○条 (面会交流)
甲および乙は、甲の丙に対する面会交流権について以下の通り合意した。
1. 乙は甲に対し、1ヶ月に1度程度、丙と面会交流をすることを認める。
2. 甲と丙の面会交流時における日時、時間、場所等に関しては、丙の福祉、安全及び諸事情を最優先に尊重し、都度、事前に甲乙間において具体的に決定するものとする。
面会交流についての記載例
面会交流の際の条件(頻度、日時、場所、送迎方法等)を具体的に決定しておく場合
第○条 (面会交流)
甲および乙は、甲の丙に対する面会交流権について以下の通り合意した。
1. 甲の丙に対する面会交流の日時は、毎月第1日曜日の1ヶ月につき1回とする。
2. 面会交流の時間については、○時から○時までとする。
3. 面会交流の送迎方法については、甲が、乙の指定する場所まで出向き丙を乙から預かり、丙の帰宅の際は、甲が丙を乙の指定する場所まで送り届けるものとする。
4. 送迎の手段及び面会交流中の移動手段については、電車、バス等公共交通機関を利用することのみ認め、甲及び乙その他第三者所有の自動車による送迎及び面会交流中の移動は一切認めない。
5. 甲は丙を面会交流時間内に帰宅させなければならない。
6. 主として面会交流を行う場所については、丙の居所より公共交通機関を利用して1時間以内の場所にてなされなければならない。また丙の福祉及び教育上問題のある場所にて実施されてはならない。
7.面会交流時の宿泊はこれを認めない。
報酬 費用について
離婚協議書作成 33,000円(税込み)~
お二人の間で、離婚の条件等が全て合意出来ている事が条件です。伺った条件を元に原案を作成し、ご夫婦でご確認をいただきます。ご確認の上、内容に問題がなければそれぞれにご署名ご捺印をいただき完成となります。完成後はそれぞれ一通ずつ保管していただきます。
離婚公正証書作成 55,000円(税込み)~
公証役場との日時調整なども対応します。原案作成までの流れは同じですが、最終的にはご夫婦お二人(また一方)に公証役場へ出向いていただく必要があります。
以下の役場の場合は、追加料金なしで代理人としての作成も可能です。
・神戸公証役場 神戸市中央区明石町44番地 神戸御幸ビル5階
・阪神公証役場 尼崎市南塚口町2丁目1番2 塚口さんさんタウン2番館2階
・梅田公証役場 大阪市北区芝田2-7-18 LUCID SQUARE UMEDA 3階
その他の役場についても、追加料金で対応可能です。お気軽にお問い合わせください。
また、公正証書を作成するには弊所への報酬の他に公証役場での手数料が必要となります。料金は、公正証書に記載する金銭の金額により決定されます。以下の表が基準とはなりますが、養育費等の算出方法が少し複雑ですので詳しくはお問い合わせください。
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
行政書士 藤崎 絢也
出身:兵庫県尼崎市
趣味:Twitter・サッカー・フットサル
性格:竹を割ったようなといわれます
自慢:レスポンスが早いです
好きな人物:高杉晋作
好きな言葉:学ぶとはいかに自らが知らざるかを知ること
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