ホームページ作成以外の経費に 補助金 (助成金)を活用する方法と計画書の書き方について

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かつてホームページの作成に係る費用は、小規模事業者持続化 補助金 の交付申請において、補助事業経費の多くを占めるビッグコンテンツでした。ところが2022年の第8回公募からは、ホームページ作成に係る費用について、経費として計上することができる額に制限が設けられ、なおかつホームページ作成に係る経費単独での交付申請が不可能になってしまいました。

したがって、小規模事業者持続化補助金の交付申請を行う際は、ホームページ作成に係る費用を抑え、なおかつ他の補助事業について多く経費を割かなければ、採択を受けることができなくなっています。

そこで今回は、過去多く採択のあった事例をもとに、本稿のために新たに書き下ろした具体的な計画書の記載例を提示しながら、ホームページ作成によらない計画書の作成方法について解説していきたいと思います。

また、最下段には全国各地を対象とした小規模事業者持続化補助金申請のサポートプランについての案内があります。本稿をご覧いただいた後、サポートを希望される方はどうぞお気軽にご連絡ください。

小規模事業者持続化補助金

年に数回の公募がある小規模事業者持続化補助金なので、その都度マイナーな改変が行われています。以下は各回にほぼ共通となっている事項なので、全体像をイメージするためにもさらっと確認するようにしてください。
なお、直近期限の補助金について詳細をお知りになりたい方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

目的小規模事業者等の生産性向上と持続的発展
補助上限[通常枠]50万円
[特別枠]事情に応じて100万円〜200万円
補助率2/3(一定の要件を満たす事業者については3/4
対象経費機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会 等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費等
申請方法電子申請または郵送
対象経費について

現時点(2023年1月末)における小規模事業者持続化補助金の対象経費は以下のとおりです。今後も改変が行われるものと予想しますので、直近期限の対象経費についてお知りになりたい方は、当事務所までどうぞお気軽にお問い合わせください。

機械装置等費補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
広報費パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費
ウェブサイト関連費販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修、開発、運用をするために要する経費
展示会等出展費新商品等を展示会等(オンラインによる展示会・商談会等を含む)に出展または商談会に参加するために要する経費
旅費補助事業計画に基づく販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
開発費新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
資料購入費補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費
雑役務費補助事業計画に基づいた販路開拓を行うために必要な業務・事務を補助するために補助事業期間に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費
借料補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
設備処分費販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で、事業者自身が所有する死蔵(活用せずにしまい込んでおくこと)の設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費
委託・外注費等上記のいずれにも該当しない経費であって、自ら実行することが困難な補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費

なお、実際に交付の対象となるのは、次のすべての要件を満たす経費に限られます。

  • 使用目的が補助事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費であること
  • 交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費であること
  • 拠資料等によって支払金額が確認できる経費であること
ウェブサイト関連費について

従来の小規模事業者持続化補助金では、ホームページ作成費用は「広報費」に含まれていましたが、2022年の第8回公募より広報費からは切り離され、新設された「ウェブサイト関連費」へと移行しています。

この改変では、ウェブサイト関連費のみによる申請はすることができなくなり、上限も補助金交付申請額の1/4、かつ、補助金確定額の1/4となりました。例えば、補助金確定額を40万円とした場合、そのうち10万円までをウェブサイト関連費として計上することができます。

このような改変が行われた背景には、ホームページ作成費用の価格帯が20万円程度〜数百万円と幅広く、不正の温床となりやすいことや、申請された補助事業の経費の内訳をホームページ作成費用が大きく占めていたこと等の事情が関係しています。

逆に言えば、ホームページ作成費用をまったく対象経費に含めることが出来ないという訳ではないので、計画書の作成については、より一層の工夫が求められることになります。

経営計画書の具体的記載例

計画書の作成は筆記試験ではありません。ご自身のされてきたことや現在していることを客観的に分析し、目標の達成に向けた課題や取組みを文書に落とし込んで可視化する作業です。補助金を貰うためだけのテクニカルな文面に気を回すのではなく、まずは事業ありきで、本当に必要としている支援について明確にしてから取り組むようにしてください。

なお、以降は具体的な記載内容に踏み込んで解説していますが、事務局はいわゆる「コピペ」に厳しく、チェックもしっかりと行われているため、ここで紹介する文面をそのまま使用することはできません。あくまでも参考資料としてのみ閲覧ください。

①企業概要

今回の事例は飲食店が自社サイトによらず行う広告活動を補助事業とするケースです。

企業概要の欄には、企業としての沿革、基本情報、商品構成及び利益構成等について記載していきます。この他にも個人事業主であれば取得済みの関連資格、法人であれば保有する許認可等についても記載しましょう。

また、会社の外観、事業所内の様子、商品やサービス内容が分かる画像を添えると事業内容もより伝わりやすくなります。本事例のように、代表者の写真を添付する事も効果的です。

顧客ニーズと市場の動向

この欄には、過去から現在に至るまでの業界の動向と、見込み客がどのような商品やサービスを求めているのかを分析した結果を記載していきます。記載例では添付していませんが、図表を活用すると伝わりやすくなり効果的です。また、一般的な市場調査のデータについては、地域経済分析システム(RESAS)(外部サイト)を利用すると便利です。

③自社や自社の提供する商品・サービスの強み

この欄には、同業他社と比較して自社が優れている点について記載していきます。本事例では、使用する食材そのものや店舗の雰囲気を強みとしてアピールしています。

また、最近はGoogleMapでの口コミ評価も集客に影響するため、個人情報に触れない程度であれば記載例のようにスクリーンショットの画像を添えることも効果的です。

経営方針・目標と今後のプラン

この欄には、ここまで計画書に記載した内容をすべて踏まえた上で、これらと矛盾しないよう具体的な経営方針について記載していきます。ここで記載した経営方針は、次章で解説する補助事業計画書にもつながるため、ご自身の事業に不足している点についても、しっかりと触れるようにしてください。

補助事業計画の具体的記載例

補助事業計画は、補助を受けながら取り組む事業についての計画です。頭の中でしっかりとストーリーを組み立て、経営計画と矛盾せず、まとまりのある内容となるよう意識しながら作成するようにしましう。

補助事業で行う事業名

経営計画書では、まずはじめに補助事業で行う事業名を30文字以内で命名します。採択事例では、独創的な事業名をつけているケースも多く見受けますが、本事例では「持続的なPRの展開と衛生的で快適なお店作り」といういたってシンプルな事業名を採用しました。ただ実際のところ、事業名が採択結果に直接影響することはあまり無いように思われます。

②販路開拓等(生産性向上)の取組内容

この欄には、実際に取り組もうとする補助事業の内容や事業の進め方を、記載例にあるとおり、従来の取組み(立看板の設置や店先でのチラシの手渡しによる集客)と対比させ、具体的な数字を提示しながら記載していきます。

③業務効率化(生産性向上)の取組内容

業務効率化(生産性向上)の取組内容の欄は任意記入ですが、本事例では補助事業による業務効率化が見込まれるため、積極的に記載しています。一般枠において加点があるわけではありませんが、このように補助事業によって従業員の手間が軽減する見込みである場合については、事業を見つめ直すためにもしっかりと記載していきます。

④補助事業の効果

この欄には、補助事業実施による売上等への影響や波及効果について、具体的な数字を提示しながら記載していきます。理想は高すぎず低すぎず、ここまで記載してきた計画の内容とも矛盾することなく実現可能な範囲内で記載することを心がけましょう。

各種補助金申請のサポートプラン

財源が税金である以上、補助金の申請には高いハードルが存在しています。補助事業に取り組もうと検討する事業者様は、この点を明確に把握した上で、必要性を見極めながら計画を進めるようにしてください。

当事務所では、補助金の活用を真剣に検討する事業者の皆さまに向け、事業内容や事業者様の想いに寄り添ったサポートプランをご用意しております。世に多く存在する暴利を追求するコンサル業者ではなく、行政書士という国家資格者が、外部との連携をフル活用しながら、迅速かつ丁寧に補助金の申請をサポートいたします。本稿の記載内容も判断材料としてご検討いただければ幸いです。

また、当事務所のサービスは、ZoomやLINEを利用することにより、全国各地での対応も可能となっています。レスポンスの速さと対応の柔軟性には自信があります。補助金の交付申請でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

(※)補助金は、事業者自らが自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う取組を支援するものです。外部のサポートを受けること自体は問題ありませんが、申請の丸投げは認められていません。当事務所が関与する際も、依頼者様に大きな負担がかからないよう役割分担を明確にしながら適切にサポートさせていただきます。

記事の執筆者

行政書士 藤崎 絢也

出身:兵庫県尼崎市 

趣味:Twitter・サッカー・フットサル

性格:竹を割ったようなといわれます

自慢:レスポンスが早いです

好きな人物:高杉晋作

好きな言葉:学ぶとはいかに自らが知らざるかを知ること

Tel : 090-4275-8530  LINE ID : fujisaki-law

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